小野山公認会計士事務所

海外不動産・海外非上場株式の評価

日本国内にある財産であれば財産評価基本通達により評価方法が定められており、不動産であれば路線価や固定資産税評価額による評価、非上場株式であれば類似業種比準価額方式等の評価がありますが、それらは日本の財産に関する評価基準であり、海外の不動産や非上場株式の評価にはそのまま使用することができません。

 

1. 海外不動産の評価

 

原則は財産評価基本通達に定められている評価方法により評価することになっていますが、財産評価基本通達によって評価することができない財産は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価することとなっています。売買実例価額はデータが入手しにくいことから、実際は現地の不動産鑑定評価によることが多いと言えます。

また、課税上弊害がない場合は、以下の価額による評価によることもできます。

① その財産の取得価額が明らかな時は、その取得価額を基にその財産が所在する地域若しくは国におけるその財産と同一種類の財産の一般的な価格動向に基づき時点修正して求めた価額(取得価額をベースとした評価)

② 課税時期後にその財産を譲渡している時には、その譲渡価格を基に課税時期現在の価額として時点修正等を行い合理的に算出した価額(譲渡価額をベースとした評価)

 

両者ともあくまで「課税上弊害がない限り」に認められるものであり、時点修正など価額算定の合理性が無い場合や、基準価額自体が市場価額と乖離しているよう場合は認められません。

 

2. 海外非上場株式の評価

 

原則は財産評価基本通達の定めにより評価をすることになりますが、類似会社比準方式、又は、純資産価額との併用方式による評価になる場合、類似会社比準方式は比準要素が国内の上場会社を標本としているため不適切となります。類似会社比準方式を用いることができなければ、評価基本通達に定める評価方法によって評価することができない財産となります。

逆に純資産価額方式は財産評価基本通達に準じているので、純資産価額方式だけの評価で問題はありません。また、同族株主等以外の株主等が取得した株式の評価は、明確な基準はないものの配当還元価額でも問題はないと思われます。

ただし、所在地国の税法において定められている評価方法があれば、それを用いて評価することも合理的と言えます。所在地国の税法による評価が、純資産価額より低い評価となることもあるため評価の検討をされることをお勧めします。

 

 

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