M&A・組織再編における含み損のある資産
含み損がある資産を保有した会社のM&A・組織再編の場合、繰越欠損金がある場合と同様の節税効果を狙うことができるため、繰越欠損金の制限と同様の制限措置があります(特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入)。
① 適用されるケース
支配関係が5年以内(組織再編の日の属する事業年開始の日が基準)、又は、設立より支配関係が継続していない適格組織再編等で、みなし共同事業要件を満たさないもの
② 適用資産
含み損の実現による損失の損金不算入の対象となる資産を、「特定資産」と呼びます。
特定資産の範囲は以下のとおりとなります。
重要性の判定(10百万円)から、土地・建物、貸付金、投資有価証券等が主な適用対象となることが多いと言えます。
次に、特定資産の重要性の判定(10百万円)の単位については以下のとおりとなります。
③ 損金算入制限の適用期間
特定資産の損失の損金不算入期間には限りがあり、支配関係から生じた日から5年を経過する日と、組織再編事業年度開始の日から3年を経過する日のいずれか早い日までとなります。
譲渡や評価替え(連結納税の開始等)などのコントロールできる原因の場合、時期をずらすことにより制限を免れることができますし、特定引継資産(または特定保有資産)の中で損失と利益を出すことにより制限額を低減させることも可能です。
なお、特定資産の含み益がある場合は、繰越欠損金の引継の特例と同じ特例計算があるが、別表や明細書の添付が必要となるので注意が必要です。
制限がある事自体や別表・明細書の添付が必要であることを認識していないことが問題となるため、M&Aや組織再編の場合は、これらの制限について把握しておく必要です。