小野山公認会計士事務所

会社分割における純資産の引継ぎ

会社分割には新設分割と吸収分割、更に分社型と分割型に4種類に大きく分けられますが、それぞれの種類により会計処理・税務処理は異なります。

会社分割の種類

 

1. 新設分割(分社型)

 

新設分割により新たに創設した会社(分割承継会社)は、元の会社(分割会社)の100%子会社(分割会社の株式を交付した場合)になります。分割会社の純資産の部は、分割事業に係る株主資本相当額の範囲内で、資本金・資本準備金・その他資本剰余金に自由に振分け(資本金0も可能)、利益剰余金には振分けません。また、債務超過の会社分割もできますが、その場合は、マイナスの株主資本変動額の全てを利益剰余金のマイナスとし、資本金・資本準備金・その他資本剰余金には振分けません(会社計算規則49条第2項)。

分割会社の方では、分割事業が資産超過であれば子会社株式として計上されますが、分割事業が債務超過であれば、負債の部に「組織再編により生じた株式の特別勘定」を計上することになります。

 

2. 新設分割(分割型)

 

分割型の会社分割は、分社型分割により分割承継会社の株式を受取り、その子会社株式を株主に全て現物配当する構成になっています。

分割承継会社の純資産の処理は、2種類あり、資本金・資本準備金・その他資本剰余金に振分ける方法(会社計算規則49条第2項)と、分割法人で減少させると決めた資本金・資本準備金・その他資本剰余金・利益準備金・その他利益剰余金を分割承継会社が引継ぐ方法(会社計算規則50条第1項)があります。

なお、税務上は、非適格分割(資産・負債が時価移転)の場合、分割承継法人株式の時価が資本金等の増加額となりますが、適格分割(資産・負債が簿価移転)の場合、移転する純資産と移転前の純資産の比率で分割承継法人に引継がれる資本金等し、残りが利益積立金として引継がれます。

 

・減少させる資本金等=資本金等(分割前)×(分割移転純資産の簿価÷分割前の分割法人の簿価純資産)

 

・減少させる利益積立金=株主に交付した株式価額-減少させる資本金等

 

分割会社では移転事業に係る株主資本相当額を受入れ、それを現物配当する処理を行いますので、その他利益剰余金、又は、その他資本剰余金を減少させることになります。

 

3. 吸収分割

 

吸収型はグループ間以外に第三者間でも行われることから、第三者間ではパーチェス法、共同支配企業の形成、逆取得、グループ間では共通支配下の取引の検討が必要となります。

 

吸収分割における処理は、新設分割における会社計算規則49条第2項に対応するものが、会社計算規則第37条第2項、会社計算規則50条第1項に対応するものが会社計算規則38条第1項になります。

 

 

記事一覧に戻る   ページ上部へ移動

ページ上部へ移動

東京・名古屋・大阪・京都・神戸・滋賀・奈良で公認会計士や税理士をお探しなら小野山公認会計士事務所へ