小野山公認会計士事務所

事業承継における自社株の注意点

事業承継において経営権の把握は重要な事項の一つとなりますが、相続の知識がなく誤った判断により事業承継に問題が起こる場合があります。その一つとして、共有株式の問題があります。

遺言が無い(または遺言があっても内容が無効)場合、相続人間の遺産分割協議により相続財産を分割することになりますが、分割内容で揉め遺産分割協議がまとまらない場合、相続財産は「準共有」となります。ここで問題となるのは、共有となった株式の議決権になります。共有株式の議決権も法定相続割合に応じて分けて行使できると勘違いされるケースがありますが、共有株式の議決権は共有者の間で協議して議決権を行使することになります。

 

具体的に以下のケースで見てみることにしましょう。相続人は長男、次男、三男の3人です。

共有の事例

父に相続が発生し、遺言が無いため遺産分割協議に入りましたが、長男の承継に不満を抱いた次男、三男、番頭が結託をして長男の追い出しにかかります。父の株式は準共有状態になり、この時株主総会が招集され、議題は専務取締役(長男)の解任となりました。父の議決権は55%ありますが、議決権を行使する者を過半数で決めることができます。長男対次男・三男・番頭さんの1対3の多数決により次男が議決権を行使することになり、解任決議は通過しました。

更に、会社には父の株式を買取るだけの剰余金があり、会社が父の株式を買取ることになると以下のような状態になり、長男は完全に経営から追い出されることになります。

共有の事例②

 

事前の対策、又は、事後の対策により争いが起こらないようにすることができますので、争いが起こった時に無用な混乱を避けるためにも、自社株の対策は必要となりますので、ご相談下さい。

 

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