平成25年度税制改正の主な内容(個人)
平成25年1月24日に平成25年度税制改正大綱が決まりました。今回の税制改正は、以前より改正案が出されていた相続税の課税対象の拡大と相続税率の増加が盛り込まれ、贈与税の軽減とともに平成27年(2015年)1月より適用されることが明確になりました。個々の詳細については、随時リンクにより解説をしていきますが、主な改正項目は以下のとおりとなります。
【所得税】
1. 所得税の最高税率の引上げ
平成27年(2015年)より課税所得40百万円超の所得税率を40%から45%へ引上げ
⇒ 解説コラム 上がる個人の税率・下がる法人の税率
2. 公社債等及び株式等に係る課税の改正
① 特定公社債(国内で発行される現物債又は発行時に源泉徴収される割引債(転換社債を除く)以外の債券)、公募公社債投資信託等の利子所得
平成28年(2016年)より源泉分離課税(20%)から、申告分離課税(20%)の対象
② 特定公社債等の譲渡、償還、一部解約の利益に対する課税
平成28年(2016年)より非課税から、申告分離課税(20%)
③ 上場株式等の譲渡損失・配当所得の損益通算の対象範囲の拡大
平成28年(2016年)より、特定公社債等と株式等の損益通算が可能
⇒ 解説コラム 金融商品(債券・株・投資信託・先物等)の税金と利益・損失の相殺
3. 少額投資非課税制度(日本版Individual Savings Account)
「非課税口座」で保有する株式投資信託や上場株式の配当所得、譲渡所得は非課税。
非課税口座の開設が条件であり、非課税口座の開設は平成26年(2014年)から平成35年(2023年)12月31日の10年間。
非課税となる期間は5年間であり、毎年の投資枠は1百万円。仮に5年間毎年投資枠を使用した場合は、5百万円分の投資から生ずる売却益、配当は非課税となる。
4. 住宅ローン控除の延長・拡大
住宅ローン控除の適用期限を平成25年12月31日から平成29年12月31日まで延長するとともに、控除額を引き上げる。
5. その他
・生産等設備投資促進税制(新設)
・商業・サービス業及び農林水産業を営む中小企業等の経営改善に向けた設備投資促進税制(新設)
・所得拡大促進税制(新設)
・雇用促進税制の控除額の引上げ
・研究開発税制の拡充
・環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)の拡充
上記については、平成25年度税制改正の主な内容(法人)を参照。
【資産税】
1. 相続税の課税強化
基礎控除の40%減と税率の見直し
⇒ 解説コラム 相続税改正への備えのススメ 平成27年(2015年)改正に向けて
2. 贈与税の一部軽減
贈与税の一部税率軽減と相続時精算課税の対象の拡大
⇒ 解説コラム 贈与税の税率軽減と相続時精算課税の対象拡大(相続時精算課税) 平成27年(2015年)改正より
3. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
直系尊属(祖父母や父母)から子や孫(30歳未満の者に限る)へ教育資金を一括して金融機関に拠出した場合(平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間)、1人当たり15百万円を上限(学校等以外に支払われる金銭は5百万円が限度)に贈与税が非課税となります。
⇒ 解説コラム 教育資金の贈与税が非課税となります(平成27年12月31日まで)
4. 小規模宅地等の特例の見直し
① 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を240㎡から330㎡へ拡大
(平成27年1月1日以後の相続・遺贈より適用)
② 特定居住用宅地と特定事業宅地がある場合の小規模宅地の適用面積の調整計算の撤廃
⇒ 解説コラム 相続評価における土地の評価減の適用にご注意を
③ 構造上区分のある二世帯住宅がある宅地等
被相続人とその親族がそれぞれ独立部分に居住しており、居住親族が二世帯住宅の宅地等を相続・遺贈で取得した場合、被相続人と同居親族が居住していた部分も小規模宅地等の特例の対象となる(平成26年1月1日以後の相続・遺贈より適用)。
④ 老人ホームに入所したことにより住まなくなった家屋の宅地等
小規模宅地等の特例の適用要件の明確化(平成26年1月1日以後の相続・遺贈より適用)。
⇒ 解説コラム 老人ホームに入居した場合の自宅の相続評価
5. 日本国内に住所を有せず日本国籍も有しない者に対する贈与税・相続税の課税強化
⇒ 解説コラム 外国籍の国外居住者への贈与・相続の課税強化