未分割の状態で売却した不動産や有価証券等の譲渡所得にご注意を
相続財産の分割が未確定の状態でも、不動産市況や相場の状況から換金したい場合がありますが、分割未確定の不動産や有価証券を売却することは可能です。未分割の不動産や有価証券を売却して得た金銭を相続人間で分割する換価分割と言われる方法ですが、相続した財産を譲渡していることから、譲渡所得(所得税)の申告が必要になります。
譲渡所得の申告における譲渡所得の計算方法は、換価代金の分割状況によって以下のように分かれます。
① 換価時に換価代金の取得割合を決めている場合
譲渡時の代金の割合が決まっていれば、譲渡時点では分割済であることから、譲渡所得の計算は換価代金の取得割合に応じて、収入や取得費・売却費用を按分して計算します。
② 換価時に換価代金の取得割合が決まっていない場合
譲渡所得申告期限(譲渡した年の翌年3月15日)までに換価代金の分割が行われていれば、換価代金の取得割合に応じて譲渡所得の計算を行い、分割が行われていなければ、換価しても共有状態は変わらないため、換価時の法定相続割合で譲渡所得の計算を行います。
なお、法定相続割合で譲渡所得の申告書を提出し、申告書提出後に換価代金の分割がされて、法定相続割合と異なることになっても、譲渡時点における法定相続分による譲渡に異動は生じないことから、更正の請求・修正申告等は行えない点に注意が必要です。